あれは念願の築古民家をリノベーションして移り住んだ最初の冬のことであり、ようやく落ち着いた生活が始まろうとしていた私の安眠を一瞬にして奪い去ったのは、真夜中の静寂を切り裂くように天井裏から響いてきた「カリカリ、トコトコ」というあの忌まわしい音でした。最初は古い建物のきしみだと思おうとしましたが、その音は明らかに意思を持って移動しており、私の頭上で何らかの生命体が活動しているという現実に直面した瞬間、私の全身には冷たい戦慄が走り、新生活への希望は一転してねずみ駆除という孤独な戦いへの幕開けとなったのです。私はまず市販の粘着シートを数十枚買い込み、音のする天井裏へ這いつくばって設置しましたが、翌朝確認しても一匹も捕獲されておらず、代わりに巧妙に罠を避けた跡や新しい糞が散乱している光景を目の当たりにし、相手の知能の高さと自分の無策さに激しい屈辱感と絶望を覚えました。ねずみ駆除とは、単に罠を置けば済むような生易しいものではなく、相手の動線を完璧に読み切り、彼らが何を求め、どこに恐怖を感じるのかを推測する高度な心理戦であることを、私はあの日々の眠れぬ夜を通じて痛いほど学びました。私はその後、懐中電灯を片手に家中の隙間をデバッグするように点検して回りましたが、そこで見つけたのはエアコンの配管スリーブの僅かな隙間や、基礎部分にある一・五センチメートルほどの通気口の網の破れであり、そこが外部の暗闇と私の部屋を結ぶ「死の門」であったことを知りました。ありとあらゆる隙間を金網やパテで埋め尽くし、さらに彼らが嫌がるハッカの香りの忌避剤を散布し、ようやく罠に一匹がかかった瞬間の、あの安堵と悲しみが入り混じった複雑な感情は一生忘れることができません。一匹のねずみ駆除に成功した後も、私はしばらくの間、小さな物音に過敏に反応する精神的なトラウマを抱えていましたが、徹底した物理的封鎖と水回りの乾燥を継続したことで、ついにあの足音はパタリと止まり、私の家には本当の平穏が戻りました。ねずみ駆除という経験は、私に住宅管理における主権の大切さと、自然の獰猛さに対して知恵で対抗することの重要性を教えてくれた残酷な授業であり、今では清潔に保たれた部屋で深呼吸をするたびに、あの日々を乗り越えた強靭な精神力を誇りに思っています。