こんにちは。私たちは、長年にわたり、数多くの飲食店の害虫駆除に携わってきた専門業者です。日々、様々な店舗の厨房に入り、ゴキブリとの戦いを繰り広げる中で、私たちは、ゴキブリ問題が深刻化する店と、そうでない店との間には、いくつかの明確な共通点があることに気づいています。ここでは、プロの視点から見た、飲食店のゴキブリ対策の「落とし穴」と「成功の鍵」について、少しお話しさせていただきたいと思います。まず、多くの店が見落としがちな、最大の落とし穴。それは、「見える場所だけをきれいにしている」という点です。閉店後の床掃除や、作業台の拭き上げは、ほとんどの店が熱心に行っています。しかし、ゴキブリが本当に好むのは、そういったオープンな場所ではありません。彼らが巣を作り、卵を産むのは、コールドテーブルや冷蔵庫の下や裏側、製氷機のモーター部分、壁と厨房機器のわずかな隙間といった、暖かくて、暗くて、そして何よりも掃除の手が届きにくい場所なのです。これらの「見えない場所」の清掃を、日常のルーティンに組み込めているかどうかが、ゴキブリの発生を抑制する上で、最初の、そして最大の分岐点となります。次に、私たちが最も厄介だと感じるのが、「構造的に問題のある店舗」です。古い建物で、壁や床に無数のひび割れがあったり、配管周りに大きな隙間が開いていたりする店舗は、たとえ店内をどれだけ清潔にしても、隣接する店舗や、建物の共用部分から、ゴキブリが無限に侵入してきてしまいます。このような場合は、薬剤による駆除と並行して、パテやコーキング剤で、これらの侵入経路を物理的に、そして徹底的に塞ぐ「防鼠防虫工事」が不可欠となります。一方で、ゴキブリ対策に成功している店舗には、共通した素晴らしい点があります。それは、「経営者と従業員の衛生意識が非常に高い」ということです。ゴキブリ対策を、業者任せにするのではなく、「自分たちの店の問題」として捉え、私たちが提案する日々の清掃方法や、食材の管理ルールを、従業員全員が徹底して実践してくださいます。ゴキブリの発生は、単なる衛生問題ではなく、その店の「組織力」と「プロ意識」が試される、リトマス試験紙のようなものなのかもしれません。私たちの仕事は、あくまでそのお手伝いをすることです。
駆除業者が語る飲食店のゴキブリ対策