毎年、夏になると、決まって家のどこかにアシナガバチが巣を作ってしまう。そんな、まるで「ハチに好かれている」かのような、悩ましい状況に陥っているご家庭はありませんか。それは、単なる偶然や不運ではありません。あなたの家が、アシナガバチにとって、巣作りをするのに非常に魅力的な条件を、いくつも備えてしまっている可能性が高いのです。ここでは、アシナガバチに好かれやすい家の特徴と、その対策について解説します。まず、最も重要な特徴が、「雨風をしのげる、適切な営巣場所」が豊富にあることです。アシナガバチの巣は、紙のような素材でできているため、雨に非常に弱いという弱点があります。そのため、彼らは巣を作る場所として、必ず雨が直接当たらない場所を選びます。具体的には、家の「軒下」や、窓の「ひさし」の下、ベランダやカーポートの「屋根の裏側」といった場所です。これらの構造が、深く、そして多くある家ほど、巣作りの候補地が増えることになります。また、「エアコンの室外機」の下や裏側、あるいは「雨戸の戸袋」の中といった、より閉鎖的で安全な場所も、彼らにとっての一等地です。次に、「餌となる虫が豊富にいる」という環境も、彼らを惹きつける大きな要因です。アシナガバチは、イモムシやケムシを狩って幼虫の餌とします。もし、あなたの家の庭に、手入れされずに放置された草木が生い茂っていたり、ガーデニングでチョウやガが好む植物をたくさん植えていたりすると、それが豊富な餌場となり、アシナガバチを呼び寄せる原因となります。庭を常に清潔に保ち、害虫の発生を抑制することが、間接的なアシナガバチ対策にも繋がるのです。さらに、「過去に巣を作られたことがある」という事実も、非常に重要なポイントです。一度巣を作られた場所は、構造的に巣作りに適しているだけでなく、古い巣の匂いが残っていることで、翌年以降、新たな女王バチが「ここは安全な場所だ」と認識し、同じ場所に巣を作る可能性が非常に高くなります。巣を駆除した後は、その場所をきれいに掃除し、木酢液やハッカ油など、ハチが嫌う匂いをスプレーしておくことで、再発のリスクを減らすことができます。これらの特徴に心当たりがある場合は、春先から、これらの場所に予防的に殺虫剤を散布しておくなどの対策を講じることが、ハチに好かれない家にするための、賢明な一歩と言えるでしょう。
アシナガバチに好かれる家の特徴