ヒメカツオブシムシによる被害の主犯は、成虫ではなく、その幼虫です。しかし、この幼虫は非常に小さく、保護色のような体色で、巧みに隠れるため、その存在に気づくのは容易ではありません。大切な衣類や食品が被害に遭う前に、この隠れた敵を探し出すための具体的な探索術を身につけましょう。まず、幼虫が好む環境を理解することが重要です。彼らが求めるのは、暗くて、静かで、餌が豊富な場所。そして、その餌とは動物性の繊維やタンパク質、そしてそれらが含まれたホコリです。探索の最重要ポイントは「クローゼットの底」と「家具の隙間」です。クローゼットにぎっしりと詰め込まれた衣類の一番下、特に長期間動かしていない衣類の下は絶好の潜伏場所です。衣類を全て取り出し、収納ケースの底や隅を懐中電灯で照らしてみてください。ホコリに混じって、長さ数ミリの毛虫のような幼虫や、その茶色い抜け殻が見つかることがあります。カーペットやラグの下、特にベッドやソファといった大きな家具の下も要注意です。普段掃除機が届きにくいこれらの場所には、髪の毛やペットの毛、食べこぼしなどが溜まりやすく、幼虫の楽園となり得ます。家具を動かして、床との接地面や部屋の隅を丹念にチェックしましょう。次に目を向けるべきは「キッチンの食品庫」です。鰹節や煮干し、小麦粉、ペットフードなどの袋を一つ一つ手に取り、袋の綴じ目や底の角などをよく見てください。非常に小さな穴が開いていたり、粉状のフンがこぼれていたりしたら、内部に侵入されている可能性が高いです。袋を白い紙の上で軽く振ってみると、幼虫や成虫が落ちてくることがあります。また、引き出しタイプの収納では、その引き出しの隅に溜まった粉やカスも幼虫の餌場になります。引き出しを抜き取り、内部を清掃・点検する習慣が大切です。ヒメカツオブシムシの幼虫探しは、宝探しとは逆の、見つけたくないものを探す地道な作業ですが、早期発見こそが被害を最小限に食い止める唯一の道なのです。
見つけにくいヒメカツオブシムシ幼虫の探し方