専門の駆除業者による徹底的な作業が終わり、厨房からゴキブリの姿が消えた。その瞬間の安堵感は、経営者にとって何物にも代えがたいものでしょう。しかし、本当の戦いは、実はここから始まります。一度、ゴキブリが繁殖するのに適した場所だと認識されてしまったあなたの店は、常に新たな侵入の脅威に晒されています。駆除後の平和な状態を、いかにして維持していくか。その鍵を握るのが、薬剤だけに頼らない、「ゴキブリを二度と住み着かせないための物理的な環境作り」と、「従業員の意識改革」です。まず、取り組むべきは、ゴキブリの「侵入経路を完全に断つ」ことです。業者による駆除作業と同時に、あるいはその後速やかに、建物の構造的な弱点を修正する「防鼠防虫工事」を実施しましょう。厨房内の壁や床に存在する、どんなに小さなひび割れも見逃さず、コーキング剤やセメントで埋めていきます。特に、ゴキブリのメインハイウェイとなる、ガス管や水道管、電気配線が壁を貫通している部分の隙間は、防鼠パテなどを使って、徹底的に、そして完全に封鎖します。また、出入り口のドアの下に隙間があれば、ブラシ付きのドアストッパーを取り付け、排水口には目の細かい網を設置するなど、外部からの侵入ルートを、一つ、また一つと、物理的に潰していくのです。これは、店の周りに見えない「城壁」を築くようなものです。次に、より重要なのが、「ゴキブリが住みにくい店内環境」を維持するための、従業員の意識改革です。駆除業者が作成した、日々の清掃マニュアルや、衛生管理のチェックリストを、単なる形式的なものに終わらせず、店の文化として根付かせることが求められます。例えば、「閉店後、床に食材や段ボールを直置きしない」「グリストラップの清掃を当番制で必ず実施する」「厨房機器の裏側の清掃を週次目標に設定する」といった、具体的で実行可能なルールを設け、それを全員で遵守するのです。経営者自らが、定期的に清掃状況をチェックし、衛生管理への高い意識を態度で示すことも、従業員のモチベーションを維持する上で非常に重要です。ゴキブリの駆除は、業者に費用を払えば完了する、一過性のイベントではありません。それは、店の衛生レベルを根本から見直し、より安全で、よりプロフェッショナルな店へと生まれ変わるための、絶好の機会なのです。
駆除後の平和を守る!再発させない環境作り