念願の一人暮らしを始めて初めての夏、私はキッチンの隅を横切る巨大な黒い影と遭遇し、それまでの平和な毎日が一瞬にして崩れ去るような戦慄を覚えましたが、その解決策として友人から勧められたのがブラックキャップでした。しかし、虫がこの世で最も苦手な私にとって、その黒い容器を自分の部屋に置くことは、まさに「悪魔を自分の寝室に招待する」ような恐ろしい行為に思え、一週間近くも「ブラックキャップを置くのが怖い」という葛藤に苛まれ続けました。設置したら最後、家中の隙間から奴らがゾロゾロと湧き出してきて、私の足元で毒餌の争奪戦を繰り広げるのではないか、あるいは死骸が部屋の真ん中に山積みになるのではないかという被害妄想が止まらず、私は殺虫スプレーを握りしめたまま夜通し電気をつけて過ごすという、精神的にボロボロの状態で日々を過ごしていたのです。そんな私を変えたのは、ある深夜、再び天井付近で不吉な羽音を聞いた瞬間の「このままではこの部屋で一生安眠できない」という極限の危機感であり、私はついにパニックを抑え込んで、買っておいたブラックキャップの封を切る決断を下しました。私は説明書に従い、奴らと目が合わないように、かつ彼らが最も好みそうな「暗くて狭い死角」である冷蔵庫の裏や洗濯機の底、そしてキッチンのシンク下の奥深くへと、震える手で黒い円盤を滑り込ませていきましたが、その作業は私にとって自分のテリトリーに潜む脆弱性をデバッグするような、非常に孤独で、かつ厳粛な儀式のようでもありました。設置してから最初の二、三日は、物音一つに過敏に反応して「罠に誘われて奴が来たのではないか」と怯えていましたが、驚くべきことに、一週間が経過した頃から、それまで毎晩のように感じていた「何かがいる」という不気味な気配が嘘のように霧散したのです。私は一度も毒餌を食べている最中の現場を目撃することはありませんでしたし、死骸も想像していたような惨状ではなく、数日おきに家具の隙間で干からびた影を一つ見つける程度で、静かに、しかし確実に私の部屋は浄化されていきました。この体験を通じて私が学んだのは、恐怖の正体は「自分の管理が届かない領域が存在すること」であり、ブラックキャップという科学の知恵を借りてその死角を制圧したことで、私はようやく自分の家に対する主権を取り戻したのだということです。今では半年に一度、カレンダーの通知に合わせて新しい毒餌に交換していますが、それはあの日味わった戦慄を忘れないための私なりの誓いであり、凛とした清潔な空気の中で深呼吸できる今の生活は、あの時の「ブラックキャップを置くのが怖い」という自分を乗り越えた先にある正当な報酬なのだと確信しています。
誘い込む恐怖を乗り越え手にした安眠